習い事

習い事選びのポイントを教えてください。

選択肢の多さがいちばんの悩み

 子供が3、4才になると、多くの親御さんが「何か一つくらい習い事をさせようか」と考え始めます。近年の習い事人気ランキング不動のトップ3は「水泳」「ピアノ」「英会話」です。次いでリトミックや体操、学習塾が人気です。他にも、サッカー、ダンス、書道、そろばん、空手など、人気の習い事はたくさんあります。これだけいろいろな選択肢があると、親としては何を習わせるのがいいかというのが悩みの種になります。
 まず、習い事を選ぶときのポイントとして親が考えるのは、①うちの子に合っているかどうか。②子供の心身や頭脳の成長に役立つかどうか。③将来の仕事などの役に立つかどうか。④通える範囲に適当な教室があるか。⑤うちの経済状況で続けることができるかどうか。これらのことが判断の材料になるかと思います。
 例年人気第一位の水泳は、関節に負担の少ない全身運動で、心肺機能が高まり皮膚も丈夫になると言われます。小学校の水泳の授業で困らないために泳げるようにしてあげたいという親心も働きます。ピアノは、目、耳、指、頭脳を同時に使うので、賢い子になると言われていますし、絶対音感は幼少期にしか備わらないと聞くと、早いうちに習わせなくちゃと焦りもします。これからの時代、どんな職業に就いても英会話は必須だから、できればバイリンガルに育てたい。学校でいじめに遭わないように空手も習わせたい。学習塾にも通わせたい。ダンスやリトミックもいい。一体どれにすればいいのか、親は選択肢の多さに悩みます。

決め手は「楽しい!」

 高梨沙羅選手が平昌オリンピックで活躍して注目を集めたスキージャンプは、たいていの人が「怖い」と感じるスポーツでしょうが、高梨選手が子供の頃に初めてジャンプを飛んだ時、「楽しい! またやりたい!」と思ったそうです。これこそが、その子の持つ資質であり、可能性です。
 子供は、大人のように「将来のため」とか「成長に役立つかどうか」などと合理的には考えません。費用対効果も考えません。「つまらない」と感じるものには興味も意欲も湧かず、能力もたいして伸びません。そういうものを親が無理やりやらせても効果は少ないかもしれないということです。反対に「楽しい! わくわくする!」と感じるものには、幼くても素晴らしい集中力や根気を見せ、わずか10分間でも驚くべき成長を遂げます。ただし、興味関心がすぐに他へ移っていくのもまた子供の自然な姿です。
 習い事は、親が焦ったり気合を入れすぎると失敗しやすいものです。また、時期が早すぎても子供に失敗体験を与えるだけに終わります。まずは、あまり欲張ったことを考えずに「うちの子に合ったものをやらせてあげたいな」とか「子供にいろいろな体験の機会を与えてみよう」というくらいの鷹揚な態度でいましょう。そして一歩退いたところから「うちの子 楽しそうかな? わくわくしてるかな?」と、子供の心の様子や目の輝きなどを観察してみましょう。
 最初はやる気満々でも、途中で「思ったのと違った」となることもよくあります。すべてが初めての体験である幼児にとって、それは当たり前のことではあります。「もう少し頑張ってみたら?」と励まして、それでも無理そうなら、習い事を止めたり変えたりしても問題はありません。習い事には縁や運もあります。世界一流の選手にするのが目的なら別ですが、一般的には何かしら子供の世界を広げたり豊かなものにしたりするために、活用されてはどうでしょうか。