ゲーム

6才の息子がゲーム機を欲しがっていますが、こんな小さいうちから買い与えてもいいものでしょうか?

ゲームの何が問題なのかを、まず考えましょう

ゲームに関するご相談はよくあります。「子供にゲームを買い与えるべきか、与えないべきか」「子供が1日30分という約束を守らない」「受験期なのにゲームばかりしている」「子供がゲームにのめり込み、止めさせようとすると切れる」といったところですが、ではゲームの何が問題なのでしょうか。現在この問題に直面している親御さんも、将来直面しそうな親御さんも、一度きちんと考えておくことが大事だと思います。

アナログなゲームとデジタルゲームの違いは何か

今やゲームと言えば、スマホのゲームアプリかDSなどの携帯ゲームかプレステなどの家庭用ゲーム機などのデジタルゲームを指しますが、ゲームとは、もともと「ルールのある遊び」全般を指す言葉です。缶けりや泥警、野球やサッカー、チェスや将棋などのボードゲームもみんなゲームの仲間です。しかし、同じゲームでもサッカーや将棋は健全だと思えるのに、なぜデジタルゲームは「良くない」感じがするのでしょうか。ご主人や子供がデジタルゲームに熱中していると、「そんな暇があったらちょっとは身になることをしたら?」と思うし、電車の中でカラフルな丸い宝石を消すことに熱中する人たちを見ると「日本の将来は大丈夫か?」と感じたりもします。なぜでしょうか。

問題①自制心の発達への影響

 ほどんどのアナログなゲームは対戦相手を必要としますが、携帯型ゲームはいつでもどこでも、場所を選ばず時間も選ばず一人で無制限に遊べます。ここがまず一つ目の問題です。成熟した大人なら、理性や自制心がある程度育っているので、たとえゲームが出来る環境でも比較的ブレーキがかかりやすいでしょう。また大人は子供と違って、働いて稼いで生計を立てなければなりませんから、ゲーム好きでも出勤時間になれば出勤しなければなりませんし、翌日の仕事のために睡眠時間も確保しなければなりません。
しかし子どもは、自由になる時間が多く、かつ理性や自制心も未発達ですので、中毒性の高い楽しい玩具を与えられると、なかなか自分ではブレーキがかけられません。また「1日30分」という親との約束を破ることが常態化すると、「理性や自制心が、毎日、欲望に負けていく」というマイナスの経験を積んでしまいます。その結果、優れた人格を形成するために大切な「理性・自制心・忍耐力・克己心」といったものが育ちにくくなることが考えられます。

問題②豊かな知性や情操を育むための時間が減っていく

 人間は皆神様から平等に時間を与えられています。その時間をどう使ったかで、その人の人生が決まっていきます。特に20歳までは、将来のために自分を鍛えたり成長させたりするための大事な時期です。ゲームをしている時間が長くなると、必然的に、勉強時間や読書の時間、深い思索をする時間、美しく豊かな情操が育まれる時間がどんどん減っていきます。その結果、粗雑な思考力や精神性しか育たなくなる可能性があります。これは大きな問題だと思います。

問題③自己中心的な態度が助長される可能性

 家族旅行で新幹線に乗っている子供や、ファミリーレストランで食事が運ばれてくるのを待っている子供が、親と会話するでもなく、ひたすらゲームをしているという光景を目にします。親もそれを容認し、親は親でスマホをいじっています。みなさんはどう思われますか?私はこういう時「傍若無人な人にならなければよいが」と思ってしまいます。傍若無人とは、書いて字のごとく「本当はそこに人がいるのに、まるで傍らに人がいないような身勝手な振る舞い」のことを言います。今で言う自己中です。私は古い人間かもしれませんが、家族や知人の前でスマホやゲームをいじるのは、目の前の人をないがしろにした無礼な態度だと思います。

親が内容と時間に制限を与えることができるか

フィギュアスケートの羽生選手や宇野選手はゲーム好きで有名ですが、彼らにとってのゲームはあくまでも「余暇の気晴らし」です。人生の第一目標がはっきりしていて、世界という舞台で戦って勝つことが常に人生の優先順位の筆頭にあり、日々厳しい訓練に全身全霊を捧げ、その上で余暇の気晴らしとしてゲームを楽しんでいるのです。私は、自制心のある人間が余暇の気晴らしとしてゲームをする分には何も問題がないと思っています。問題は、ゲームに身も心もハイジャックされることです。
子供であっても、30分なら30分だけゲームを楽しむのは害がないと思います。しかし頭の中や生活時間のほとんどをゲームにハイジャックされるなら、大きな問題です。先に述べたように子供は理性や自制心が未熟なので、親が内容と時間に制限を与える必要があるでしょう。
また、ここが大事な点ですが、決めた時間の約束を守れるか守れないかは、子供の問題ではありません。親の問題です。親に「子供と交わした約束を守り切る」強さや信念がないことが問題です。もし、与えた制限を守らせ切る自信がないなら、いっそ買わないほうがいいでしょう。そのほうが親もイライラしなくてすみます。

家族でボードゲームをするのはいかがでしょうか

 何も子どもにゲーム機を与えるか与えないかの二択しかないわけではありません。アナログですが、家族で盛り上がれる知的なボードゲームが日本にも世界にもたくさんあります。
 イチオシは、フランスの特殊四目並べ「クアルト」。他に、ドイツの足し算ゲーム「びっぐテン」、共通する絵柄を素早く見つける「ドブル」、意外と大人が勝てない「漢字博士」、論理的思考力が鍛えられる「マスターマインド」など、まだまだいっぱいあります。家族でテーブルを囲み、相手の表情を読みながら、心理戦も使ってスリルのある一家団欒を楽しんでみませんか?お子さんもきっとノッてきますよ。