しつけ

電車の中での子供の過ごし方を教えてください。

都内のある公立小学校の例

 わが家の子供たちが6年間通った都内の公立小学校に通う子たちは、日頃は伸び伸びと遊んだり勉強したり部活動に励んだりしていますが、始業式などのお式のときには1年生から6年生までの500人以上の児童が誰一人おしゃべりをせず、背筋を伸ばしてイスに座っています。そしてお式の後には全校指導担当の先生が「さすが○○小学校のみなさんです。最後までたいへん立派でしたね。先生たちはみなさんを心から誇りに思います」と話されたりします。先生方は、時には厳しい指導もされますが、決して抑圧的ではありません。わが子たちもその小学校の先生方を尊敬し信頼していました。

電車の中は、おうちとは違う

 電車の中では、きちんと座っている子も多いですが、時には、お菓子を食べたり、大声でしゃべったり、ドアから駆け込んでイス取り競争をするランドセルの小学生なども見かけます。また空いている席にいち早くわが子を座らせようとする母親と、当然のように親を立たせてゲームを始める子供なども見かけます。
電車内は公共の場です。子供たちにはまず公共の場でのマナーを教える必要があるでしょう。多くの人々が一緒にいる空間は、「おうちとは違うのよ」ということを子供に教えてあげなければなりません。

美しい精神を育てるために

 しかし、うちの子たちが小学校で学んできた電車の乗り方は、そういったマナーレベルのことではなく、もっと精神性の高い内容でした。先生は子供たちにこのように教えてくれました。「みなさんは、足の弱いお年寄りではありません。仕事で疲れてもいません。元気な子供です。病気やけがのとき以外は、電車では座りません。手すりなどにしっかりつかまって、立ったまま乗りましょう」
 この薫陶のおかげで、うちの子たちは中学以降大人になっても、車内がガラガラに空いているとき以外は決して座らず、平気な顔で立っているようになりました。別に特別な行為ではなく、それが当たり前だと思っているのです。
 子供というのは未熟なものですが、子供の心の奥には、大きく立派に成長してゆきたいという根源的な願いと、方向性と、エネルギーが秘められています。それは、すべての子供の心の中にあります。その願いやエネルギーを引き出してあげるような教育が必要だと考えます。「子供は、やがて立派に成長する未来の宝だ」と信じ、子供に期待を掛けながら育てましょう。
電車内ではお年寄りには席を譲る。トイレットペーパーが切れたら、次の人のために補充してから出る。返事は短く気持ちよく。お母さんの荷物は自分からすすんで持つ。困っている人がいれば、ためらわずに助ける。弱いものいじめを見逃さない。
ただ単に、人に迷惑をかけずに無難に生きるというレベルでなく、大人になって社会を素晴らしく変えていくような子供に育てたいものです。